広島電鉄の稲荷町電停そばに店を構え、プーリアやシチリア州など南イタリア地方で親しまれる料理をアラカルト中心に提供する。
「素材のうまみを引き出すシンプルな味付けが特長。ニンジンをオーブンで2時間蒸して甘みを際立たせたマリネや、豊洲直送のメカジキを使うカツレツが看板メニューで、信頼できる生産者から仕入れた本当においしいと思える食材だけを提供しています。店名に込めたイタリア語の『感謝』の思いを大切にし、来店してくださった皆さんに幸せなひとときを過ごしてほしい」
南部地区特有のショートパスタのオレキエッテやパッケリなども現地に倣って乾麺を使う。広島では珍しいセミフレッド(半解凍状のアイスクリーム風デザート)も好評で、これを目当てに訪れる客も多いという。
「他店がしないことにチャレンジするからこそ来店時の驚きがあり、リピート利用につながると思います。将来はセミフレッドの専門店開業も視野に入れ、さまざまなことに挑戦していく」
中区舟入南に本社を構え、製造業向け機械部品や設備の販売、設置工事を行っています。これまでサッカーの観戦経験はありませんでしたが、8月にサンフレッチェ広島のクラブトップパートナーになったのを機に、同月20日の神戸戦で初めてエディオンピースウイングへ。惜しくも試合には敗れてしまいましたが、最後の一瞬まで得点を狙い続ける選手の姿勢に胸が熱くなりました。ゴールキーパーの大迫敬介選手の好セーブも印象的。近距離からのシュートに対する瞬発力には感心しきりでした。
選手はもちろん、キックオフから最後までぶっ通しで声援を送り続けるサポーターの熱量にも圧倒されました。劣勢の中でも決して諦めないファンに応えようと、選手も奮起したことでしょう。
当社を含めてパートナー企業がどんどん増えており、地域を挙げてチームを盛り上げようという雰囲気を感じます。今後は試合がない日にもスタジアムに人が集まる仕組みをつくり、若者が出ていかない魅力あふれる街にしていってもらいたいですね。
当社は現在の年商57億円から2034年に100億円へ事業拡大を目指しており、そのためには社員一人一人の力が欠かせません。結果を出し続けなければ生き残れない厳しい世界で戦う選手の姿に触れることで、社員皆が熱い気持ちを持って顧客と向き合い、仕事にやりがいを感じるきっかけになればと思います。
広島から車で約2時間。この時間距離に〝広域観光〟の可能性ありと踏んだ。広島商議所・都市機能強化委員会の山下泉委員長(ゼネラル興産会長)は、さっそく「島根県石見地域との広域観光ルート形成へ向けた調査」をスタート。今後は広島、島根県と関係市、経済界の協力を得て実現へ動き出す。
2023年から委員会メンバーや広島市の観光関連担当者らと視察を重ね、現地自治体が抱える課題や広域連携の可能性などを探った。江津市・浜田市では温泉リゾートや日本遺産の石見神楽、はまだお魚市場などを見学。益田市は島根県芸術文化センターグラントワや萩・石見空港。
今年10月には大田市を訪ね、温泉街では全国初の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定された温泉津温泉や世界遺産の石見銀山などを視察。手応えを得た。本年度内に広島と島根両県に広域観光へ連携を働きかける。
広島には原爆ドームと厳島神社の二つの世界遺産があるが宿泊を伴わない、消費額の小さい通過型観光地という課題を抱える。平和記念資料館の入館者数は昨年初めて200万人を突破、広島市の入込観光客数は過去最多の1434万人に上り、うち外国人は251万人を記録。宮島の来島者数は過去最多の485万人。大いににぎわう。欧米豪中心のインバウンドで沸く。政策投資銀中国支店調査の人流分析で昨年度の広島の訪日外国人は138万人。岡山の38万人に比べて4倍近い。しかし1人当たり平均消費額は3万6534円にとどまり、岡山は5万3064円。大阪は9万円超と格段の差がある。
平均宿泊は広島の1.9泊に対し、岡山は2.2泊(24年度)。山下委員長は、
「待っているだけでは物事は動かない。こちらから出向くことで互いの意識、関係性も深まる。視察、対話、交流を通じて新たな課題、可能性が見えてきた。何としても自治体の関与が欠かせない。温泉や銀山、石見神楽などは外国人をひきつける。それぞれの地域、観光資源を生かし合うことで魅力は倍加する」
東京・新橋駅前で目にした岡山と鳥取の合同アンテナショップが発奮材料となった。広域観光は自治体の枠組みを越えた意思疎通、情熱が決め手という。
広島商議所には既に自治体を越えた広域連携の実績がある。広島〜山口の9市6町や商議所などでつくる「広島湾ベイエリア・海生都市圏研究協議会(松藤研介会長)」が推進する体験型修学旅行の誘致活動だ。
08年度から商議所が音頭を取り、自治体の首長が参画して8地域協議会が体験の受け皿となり〝民泊〟事業を展開。19年度は過去最多の116校1万5093人を受け入れたがコロナ禍で一転。民泊受け入れ家庭へのテコ入れが課題となっている。対策として広域連携で1校を複数地域で受け入れる一方で、昨年から地域の本音を聞き、コミュニケーション不足を解消する座談会方式の交流会を開く。12月には安芸太田町、北広島町、庄原市で意見交換する。
災害時などの有事だけでなく、互いに懐に入る関係を日頃から築いておく。
「むろん行政任せはダメ。自治体連携のきっかけをつくりまずは、われわれが先頭に立って血の通う交流を深めんといかん。やればできる」
一段と熱意を込める。御年89歳。視線の先に広島の未来を描く。